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第9回/マンションの安全性

田中礼治(たなかれいじ)
東北工業大学工学部建築学科
教授
 近年、我が国のどこの都市でもマンション(集合住宅)が多く建設されている。仙台市の中心部でもマンションが多い。1978年の宮城県沖地震のときには仙台市内に約100棟程度のマンションがあったと言われている。1995年の阪神大震災(正式名称は兵庫県南部地震という)では多くのマンションが被害を受け、多数の方が亡くなった。

阪神大震災でのマンションの被害を分析してみると、被害を受けたマンションには3つの特徴がある。
  1. 比較的古いマンションに被害が多い。具体的には1975年以前建設のものに被害が多い。
  2. 1981年以降建設のものに被害が少ない。
  3. 1階が駐車場、商店などになっており、1階に壁が少ないものに被害が多い。逆に、1階から上階まで同様な形式のマンションでは被害が少ない。

 上記3つの特徴は、建物の力学的な特性と関係している。1975年以前のマンションが地震に弱い理由は主に、柱、はり部材に使用している鉄骨が現在使用されているものよりも弱いことにある。当時の鉄骨は現在のように工場で一体的に形成されたものではなく、細い鉄骨を組み合わせて造ったもので、現在の鉄骨より弱かった。

 1981年以降のマンションに被害が少なかった理由は、1981年に建築基準法が改正されたためである。建築基準法の改正によって建物の耐震強度が増強され、それに合せて建物の造り方も変化したためである。1階に駐車場や商店を設けると、用途上、壁を多く設けにくくなる。壁が少なくなると耐震強度が低下するのと同時に1階だけが他階に比べて軟らかくなる。軟らかくなると1階だけが大きくゆれる原因になり、被害を受けやすくなる。

 1978年の宮城県沖地震での仙台市内のマンション被害としては、コンクリートの壁に斜めの亀裂(せん断亀裂)が多数発生し、玄関のドアが開閉できず、避難できなくなった問題も社会的に大きく取り上げられた。このような被害の多くは、地盤のあまり良くない地区で発生しており、被害が地盤と関連していることも忘れてはならない。

 被害を受けた建物はもちろん、亀裂が発生していなくても一度大きな地震を経験すると、建物は揺れやすくなる。学術的には「建物の剛性が低下した」と表現する。再来する宮城県沖地震の地震波は、長周期成分を多く含むと考えられている。1978年の地震を経験したマンションの固有周期は長くなっており、再来する地震では1978年の時より大きく揺れることが考えられる。1981年以前のマンションも心配だが、1978年に存在していたマンションはより心配だ。耐震対策を望みたい。



Profile


田中 礼治(たなか れいじ)氏

■現職
東北工業大学工学部建築学科 教授

■論文 (2005年)
・地域防災の世代継続を考えた耐震診断の促進に関する研究
・木造住宅の耐震補強工法に関する研究
・再生および溶融スラブ骨材を用いた
 ハーフプレキャスト角柱の軸圧縮実験に関する研究
・その他多数
■出版
・既存RC造建築物の耐震補強の設計と施工
・その他多数

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